ファッションビジネスに携わって60年あまり。その間、世界中を回って、見て、聞いて、触って、買い集めた物、物、物・・・。
毎回少しづづ、出し惜しみながら紹介します。「石津謙介的こだわり博物館」。
「帽子」


オナシスが愛したギリシャ帽
僕がこのギリシヤ帽に出会ったのは30年ほど前、アメリカの友人からそのいわれを聞いて、一ぺんにマニアになって、以来、外国に出かける時には必ず被っていきます。今では同じ形で夏用、冬用と素材違いのものを7つほど持っています。この帽子はウール製がほとんどなのですが、どうしてもデニムのギリシヤ帽が欲しくて、ついには自分のブランドで作ってしまいました(写真左)。この帽子はその名の通り、ギリシヤの汽船船貝の帽子です。「ギリシヤ帽」と船長が被る「船長帽」ばよく似ていますが、船長帽が帽子の前の部分が後ろより高くなっているのに対し、ギリシヤ帽は前後の高さが同じです。日本ではヨットマンの船長帽姿はよく見かけますが、このギリシヤ帽はほとんど見かけませんね。欧米ではアーティストが好んでこの帽子を彼ります。初対面でも互いがギリシヤ帽を被っていると、それだけで昔からの友人のような気がして、打ち解けた雰囲気になるんです。不思議ですね。お洒落をするには勇気必要です。他人と違うからこそお洒落なのだと思います。流行を追い掛けるのは白分に価値基準がないからでしょう。この帽子にしても、アーティストが愛用するようになったきっかけはギリシヤの海運王オナシスが被ったからなんです。世界一の船主である彼が船長帽でなく、下級船貞の被るこの帽子を。粋じやないですか。自分がいいと思ったものは怯むことなく、トライする。そんな気概がお洒落には何よりも必要だと思いますね